第110章

彼は軽々しく彼らの結婚と、彼女の人生を決めてしまった。

山田澪はトイレで顔を洗い、また携帯電話を取り出して福江おばあさんに電話をかけたが、やはり繋がらなかった。

彼女はまたソファで丸くなって一晩中眠り、目が覚めると朝になっていた。

山田澪は無意識にキッチンへ向かったが、福江おばあさんの姿は見えず、長い静寂の後、喪失感が押し寄せてきた。

人間の習慣とは、本当に恐ろしいものだ。

彼女は手を洗って朝食を作り、できた朝食をテーブルに運ぶと、ちょうど北村健が階段を降りてきた。

以前、福江おばあさんがいた頃は、家で食事をしたことがなかったが、今日はダイニングテーブルに座った。

以前と同じよ...

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